不動産トラブル

商業向けの土地を購入したい。何か制限はあるのか?

商業向けの土地を購入したい。何か制限はあるのか?
【質問】土地を購入して店舗付住宅を建てたいと考えてます。「用途地域」の制限で商売ができない場合もあるの?
【回答】用途地域の制限で、建築できない建物や商売できない業種もあります。しっかり調べてから土地は購入しましょう。

第一種低層住居専用地域
「低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域」とされ、用途地域の中で最も規制が厳しい地域です。

建物には高さ10mもしくは12mの制限があります。600㎡以内の幼稚園、小・中・高校(大学などは不可)、床面積の合計が50㎡以下の店舗の建築が可能です。

第二種低層住居専用地域
「主として低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域」とされており、第一種低層住居専用地域よりもやや規制が緩くなります。

高さ10mもしくは12mの制限がありますが、床面積150㎡以内で2階建て以下であれば、日用品販売店や飲食店、喫茶店、コンビニなどが建築可能です。

また作業場面積が50㎡以下のパン屋や洋服店も容認されます。

第一種中高層住居専用地域
「中高層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域」です。

建物の高さ制限はなく、4階建てを超える中高層マンション、病院、大学などが建てられるエリアです。

業種により2階建て以下で床面積が500㎡以下であれば飲食店や銀行の支店、スーパーマーケットが建てられます。

300㎡までのコインパーキングなども認められます。

あくまでも住居専用地域ですので、オフィスビルは建てられませんが、容積率などの制限は緩くなります。

第二種中高層住居専用地域
「主として中高層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域」とされており、2階以下で床面積1500㎡以下の飲食店や各種店舗、事務所といった施設が認められます。

中高層住宅やレストランに加えて、仕事にかかわる建物なども許容される地域です。

取り扱う量が非常に少ないという制限付きで、石油類やガス、火薬などの危険物の貯蔵・処理施設も容認されます。

第一種住居地域
「住居の環境を保護するため定める地域」で、指定面積が3000㎡までであれば建築可能です。

住宅以外は大型の店舗や事務所、ホテル、旅館、さらにボウリング場やスケート場、水泳場などのスポーツ施設も認められます。

作業場の床面積が50㎡以下の工場なども建てられます。

ただし、麻雀店、パチンコ店、カラオケボックスなどの建築は原則として禁止です。

第二種住居地域
「主として住居の環境を保護するため定める地域」です。

床面積10000㎡以下であれば大きな店舗やカラオケボックス、パチンコ店、馬券発売所などの遊戯・娯楽施設も建築可能です。

多種多様な店が集まることが想定されているため、にぎやかな場所であることが多いです。

一方で住環境としては静かな場所とは言い切れません。

準住居地域
「道路の沿道としての地域の特性にふさわしい業務の利便の増進を図りつつ、これと調和した住居の環境を保護するため定める地域」であり、住居系の用途地域の中では最も許容範囲が広い地域です。

指定地域は、国道や幹線道路沿いなどの車移動の利便性が高いエリアが代表的です。

3階以上または床面積300㎡より大きな自動車倉庫や床面積150㎡以下の自動車修理工場、床面積200㎡未満の小さな劇場・映画館なども認められます。

田園住居地域
「農業の利便の増進を図りつつ、これと調和した低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するために定める地域」と定められています。

第一種低層住居専用地域の建物制限と似ていて、低層住宅のほかには図書館や幼稚園、小・中・高校といった文化・教育施設、病院、寺院などが建てられます。

緑豊かな環境をできるだけ残していくという政府の方針から、2階建て以下の農産物直売所や農家レストランといった農地との近さを利用した土地活用も認められます。

ただし、地域内の農地について土地の形質の変更などを行う場合には市町村長の許可が必要です。

近隣商業地域
「近隣の住宅地の住民に対する日用品の供給を行うことを主たる内容とする商業その他の業務の利便を増進するため定める地域」です。

スーパーマーケットや商店街などがあり、生活に便利な店舗がそろうエリアです。

床面積合計10000㎡までの飲食店、展示場、遊技場などの施設が認められます。

床面積150㎡以下という条件で危険性が低く環境悪化を招くおそれがない工場や、床面積300㎡以下の自動車修理工場も建築可能です。

商業地域
「主として商業その他の業務の利便を増進するため定める地域」とされています。

一定の工場などを除いて、ほとんどの用途の建築物を建てることができるため、周辺の環境や隣接地の建築計画などには注意が必要です。

駅周辺の土地などが該当し一般的に地価が高いため、戸建て住宅よりもマンションなどの集合住宅が多くなります。

準工業地域
「主として環境の悪化をもたらすおそれのない工業の利便を増進するため定める地域」です。

商業地域と並んで用途の幅が広く、ほとんどの建築物を建てることができます。

ただし、一定の風俗営業店や安全上・防火上の危険性がある建築物、衛生上や健康上の有害度が高く、環境悪化をもたらすおそれのある工場は建てられません。

工業地域
「主として工業の利便を増進するため定める地域」です。

工場については公害が発生するおそれが大きい業種も含め、各種工場が建築可能です。

住宅や店舗も建てられますが、学校、病院、ホテルなどは建てられません。

工業専用地域
「工業の利便を増進するため定める地域」で、工業の業務の利便性が最優先されます。

そのため、工業地としての土地活用を妨げるような用途の建築が原則禁止されており、住宅、店舗、学校、病院、ホテルなどは建てられません。

 

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